皮膚の手術後の傷あと、正しい処置方法

ホクロや粉瘤など、手術後の「傷あと」。傷がきれいに、目立ちにくくなるように術式を選びデザインするのはもちろん大事ですが、実はその後の適切なケアもとても大事です。また、部位によっても適切なケアの方法は異なります。


この記事では、ホクロや粉瘤など、皮膚手術後の正しい傷跡ケアについて、具体的な方法を紹介します。

術式によって変わる傷あとケア

手術には大きく分けて、傷をきっちり縫合する方法と、一部を開放して徐々に傷を塞いでいく開放法があります。例えば、皆さんがよく知っているホクロ除去手術。大きさや深さによって、縫ったり縫わなかったりするんです。 部位やしわの方向などにより選択されますが、それぞれ適切なケアは異なってきます。

1)傷を縫う場合のケア

傷を縫った場合、関節部など動きの大きい部位は抜糸までの間は患部に力がかからないよう、安静を心がけることが重要です。 また術後3日間ぐらいは出血しやすいため、長時間の入浴や飲酒など、血流が良くなるようなことは避けた方が良いでしょう。

また抜糸までの間、出血が少ない場合は術直後からキズパワーパッドなどのハイドロコロイドテープ剤で傷を覆い、そのまま抜糸まで貼ったままにすることも多いです。これは「モイストヒーリング」と言って、清潔な状況で傷をウェットな状態に保つことが傷を早く治すのに重要であるためです。
ただ滲出液や出血が多いとテープが剥がれてしまうことも。その場合は優しくシャワーで創部を洗い流し(石鹸などがかかってもきれいに洗い流せば大丈夫です)、同じように市販のキズパワーパッドなどのハイドロコロイド剤を貼っていただければ大丈夫です。 このとき、マキロンなどの消毒薬を使用しないようにしましょう。特に術後のようなきれいな傷の場合、消毒はかぶれたり治ろうとする細胞まで傷つけてしまうため、現在では推奨されないことになっています。

抜糸後も、傷口はまだ完全には治っていません。まるで薄皮一枚で守られているような、とてもデリケートな状態です。後述するように、赤みや盛り上がりを抑えるために、医師の指示に従ってテーピングやシリコンシートなどの処置を続けるようにしましょう。

2)傷を縫わない場合のケア

傷を縫わない場合は、3mm未満の小さな傷の場合が多いです。周辺から自然に皮膚がふさがって治るのを待ちます。この場合は、傷口を乾かさないことが何よりも大切です。

・軟膏を塗る場合は、毎日石鹸と水で優しく洗い、きれいなタオルで拭いてから処方された軟膏を塗ります。この時、傷口を乾燥させると傷跡が残りやすくなる可能性があります。 ・軟膏を塗らない場合は、術直後からキズパワーパッドなどのハイドロコロイド剤を傷に貼ります。この場合はそのまま再診の日まで貼りっぱなしにしておきましょう。上からメイクをしたり日焼け止めを塗っても構いません。また、テープがふやけたりして剥がれた場合は、シャワーできれいに洗ってから清潔なタオルで拭き、市販のキズパワーパッドのようなハイドロコロイド剤で覆いましょう。

これらは「湿潤療法」と言って、傷を乾かさずに体液を清潔な状態で保つハイドロコロイド剤で覆って治癒を促します。しかし、これはあくまで「きれいな傷」に有効な治療法です。膿が出ているような感染を起こした「汚い傷」では、逆に細菌の繁殖を助長してしまうため注意が必要です。例えば外で転んだりした怪我では、傷が雑菌で汚染されていることが多いため、安易にキズパワーパッドで覆ってしまうと感染のリスクが高まります。この場合は貼りっぱなしにせず、毎日シャワーで洗うようにして、周りが赤く感染したような状況が疑われる場合には、早めの皮膚科受診をお勧めします。

皮膚手術後の傷跡をきれいに治すための3つのステップ

ホクロや粉瘤の除去など、皮膚手術を受けた後には、誰もが経験する「傷あと」。実は、傷あとが完全にきれいになるには、半年程度かかるとも言われています。 特に術後2−3ヶ月は、赤みや色素沈着といった一般的な傷あとの反応がおきますが、徐々に薄くなっていきます。

実は、この傷あとを綺麗に治せるかどうかは、手術直後からの適切なアフターケアにかかっていると言っても過言ではありません。

傷の深さや大きさ、そして手術の方法によって、適切なケアは異なってきます。

例えば、皆さんがよく知っているホクロ除去手術。大きさや深さによって、縫ったり縫わなかったりするんです。傷口を縫った場合は、傷跡が悪化するのを防ぐために、手術後から抜糸までの間、テープで傷跡を固定することが重要です。テープは、傷口を引っ張る力から守り、安静な状態を保つことで、傷跡をきれいに治す効果が期待できます。

1)手術直後から始まる傷跡ケア

特に術後3日間は、傷口は出血しやすい状態です。そのため飲酒や運動・長時間の入浴など血流が良くなるようなことは避けましょう。

・傷が深く、丸めたガーゼで圧迫固定している場合は翌日まで剥がさない。
・出血が少なくハイドロコロイド剤で覆っている場合は、軽いシャワー程度は浴びてもらって構いません。

また、関節部など動く場所の傷の場合は、なるべく大きく動かさないようにしてください。

2)抜糸までの傷跡ケア(傷がふさがる前)

抜糸までの期間は、傷口を安静に保ち、傷跡を綺麗に治すための土台作りをする大切な時期です。この時期に傷口が引っ張られたりこすれたり、乾いてしまったりすると、赤く盛り上がったり、広がったりしてしまうことがあります。

前述の「傷を縫う場合のケア」「傷を縫わない場合のケア」を参考に、傷をきれいに保ってください。

またこの期間も、関節など動く場所の傷の場合はなるべく動かさないことも大切です。例えば、膝や肘など、関節部分で皮膚が引っ張られるような場所は傷跡が残りやすい場所です。このような場所では、抜糸までの間、なるべく患部を動かさないように安静を保つことが重要です。

3)抜糸後の傷跡ケア(傷がふさがった後)

抜糸後も、傷口はまだ完全には治っていません。まるで薄皮一枚で守られているような、とてもデリケートな状態です。赤みや盛り上がりを抑えるために、医師の指示に従って、以下の処置を続けるようにしましょう。

テーピング固定

傷を縫った場合、当院では1−3ヶ月程度、マイクロポアテープという傷あと保護用のテープを貼ってもらいます。(1巻約500円) 傷に対して垂直に貼るのがポイントです。テープは毎日張り替えず、何日かそのまま過ごして縁が少しめくれてきたら、入浴の時などふやけているときにそっと剥がします。周辺の皮膚に赤みなどがなければそのまま同じようにテープを貼ります。少し赤みやヒリヒリがある場合は、2−3日空けて皮膚を休ませてから同じようにテープを貼ります。 また明らかに痒みなどがありテープかぶれしてしまった場合は、お薬を処方することもありますので早めに受診してください。

また傷を縫わない場合でも、少し赤みが強かったり盛り上がりのある場合は、同様にマイクロポアテープでの保護をおこなっていただくこともあります。

テープを貼ることで、傷口が引っ張られるのを防ぎ、傷跡に一定の圧力をかけることで、傷跡が盛り上がってくるのを防ぎます。また、テーピングは、傷口を保護し、摩擦から守る役割もあります。いつまでテーピングを続けるかは、傷の状態や部位によって異なりますので、医師の指示に従ってくださいね。
またテープの代わりに市販のシリコーンシートを使うこともあります。これはテーピングと同様の目的で使われる薄くて柔らかいシートです。テープより値段は高いですが、傷跡を保湿し皮膚を柔らかくする効果があり傷跡を目立たなくするのを助けてくれます。

紫外線対策

傷あとの部分は炎症が起きるため、炎症後の色素沈着が起こることがあります。そこへさらに紫外線を浴びてしまうと、さらに色素沈着のリスクが高まります。特に、手術後間もない傷跡はまだ未熟で、紫外線の影響を受けやすい状態です。ですから、手術後しばらくは十分傷跡を紫外線から守ることが大切です。

具体的には、日焼け止めクリームをこまめに塗り直したり、帽子や日傘を使って、傷跡を直射日光から守ってあげてください。日焼け止めは、紫外線吸収剤配合のものや紫外線散乱剤配合のものなど、様々な種類がありますので、ご自身の肌質や使用シーンに合わせて選びましょう。

患部の安静(関節周辺など動く場所の場合)

手術後、傷口はまだ完全に閉じておらず、周囲の組織も不安定な状態です。この時期に患部を動かすと、傷口が引っ張られたり、こすれたりして、傷跡が広がってしまい、目立ちやすくなることがあります。

例えば、ひざの傷を無理に曲げ伸ばしすると、まるで糊付けしたばかりの紙が剥がれてしまうように、せっかくくっつき始めた傷口が再び開いてしまう可能性があります。傷口をしっかり治すためには、患部を安静にしておくことが大切です。手術を受けた場所にもよりますが、傷口を動かさずに安静にしておく期間は、医師の指示に従ってください。

肥厚性瘢痕・ケロイドになってしまった場合の治療

肥厚性瘢痕やケロイドは、傷が治る過程で、傷跡が赤く盛り上がってしまう状態です。これは、コラーゲンという繊維状のタンパク質が過剰に増殖してしまうことで起こります。

これらの治療には、保険診療で行う内服治療や患部へのステロイドテープや注射の治療、また研究段階ではありますが自費のレーザー治療など、さまざまな方法があります。

例えば、ステロイドは、炎症を抑え、コラーゲンの産生を抑える効果があります。ステロイドテープは、傷跡に直接貼ることで、ステロイドを局所的に作用させることができます。ステロイド注射は、ステロイドを傷跡に直接注射することで、より効果的に作用させることができます。

当院では術後の傷あとに対して、皮膚科専門医による保険診療を行っています。

まとめ

手術後の傷跡は、時間の経過とともに薄くなっていくことが多いですが、傷の深さや体質によっては、赤みや盛り上がり、色素沈着などが残ってしまうこともあります。皮膚手術後の傷跡を綺麗に治すためには、術後の適切なアフターケアも重要です。

傷口を清潔に保ち、紫外線対策、患部の安静など、医師の指示に従ったケアが必要です。

また万一傷跡が目立つ場合は、内服薬、外用薬、注射治療など、様々な治療法があります。当院の皮膚外科手術では、術後のフォローも含めてしっかり行っております。

気になることがありましたら、ぜひ相談してくださいね。

当院へのご予約はこちらです。保険診療のWEB予約は前日までとなっております。当日のご予約はお電話にてご相談ください。シミ・シワ・たるみやエイジングケアなど美容皮膚科での自費診療は完全予約制となっております。当日施術ご希望の場合は必ずお電話でご予約ください

参考文献

  1. Bernabe RM, Won P, Lin J, Pham C, Madrigal P, Yenikomshian H, Gillenwater TJ. Combining scar-modulating agents for the treatment of hypertrophic scars and keloids: A systematic review. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery : JPRAS 88, no. (2024): 125-140.

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