「えっ、うちの子が!?」突然の“頭じらみ”どうすればいい?

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お子さんが頻繁に頭をかゆがっていたら、「もしかして頭じらみ?」と驚かれるかもしれません。頭じらみは不潔だからうつる病気ではなく、毎日シャンプーをしていても誰にでも感染する可能性がある、身近な皮膚疾患です。

この記事では、皮膚科専門医の視点から、フケとの簡単な見分け方から薬の正しい使い方、そして抵抗性アタマジラミへの対処法まで詳しく解説します。ご家庭でできる再発防止策も学び、もう繰り返さないための確実な知識を身につけましょう。

「えっ、うちの子が!?」突然の“頭じらみ”どうすればいい?

「えっ、うちの子が!?」突然の“頭じらみ”どうすればいい?
「えっ、うちの子が!?」突然の“頭じらみ”どうすればいい?

頭じらみとは?感染原因と見分け方のポイント4つ

お子さまが頻繁に頭をかゆがっていたり、フケのような白い粒が髪に付いていたりすると、「もしかして頭じらみ?」と驚かれるかもしれません。

頭じらみは、医学的には「アタマジラミ症」と呼ばれます。 体長2~4mmほどのアタマジラミという昆虫が頭髪に寄生し、頭皮から血を吸うことで、かゆみなどの症状を引き起こす皮膚疾患です。

まず最も知っていただきたいのは、頭じらみは不潔にしているからうつる病気ではないということです。 毎日きちんとシャンプーをしていても、誰にでも感染する可能性があります。 また、アタマジラミが他の病気をうつす(媒介する)こともありません。

大切なのは、正しい知識を持って冷静に対処することです。 ここでは、皮膚科専門医の視点から、頭じらみの症状や見分け方のポイントを詳しく解説します。

頭じらみとは?感染原因と見分け方のポイント4つ
頭じらみとは?感染原因と見分け方のポイント4つ

主な症状とフケ・フケ様皮膚疾患との違い

アタマジラミに感染した際の最も代表的な症状は、吸血による「激しいかゆみ」です。 吸血の際に唾液が頭皮に注入され、アレルギー反応を起こすことでかゆみが生じます。

特に、アタマジラミが好んで卵を産み付ける後頭部や耳の後ろ、髪の生え際にかゆみが集中しやすい傾向があります。 また、髪に付いた卵はフケと間違われやすいですが、両者には明確な違いがあります。 ご家庭でできる簡単なチェックポイントをまとめました。

項目 アタマジラミの卵 フケ・ヘアキャスト※
見た目 0.5mm程度の楕円形
やや光沢があり、乳白色~灰色
白くカサカサしたうろこ状
細長い筒状のものもある
付着の仕方 髪にセメント様物質で固く付着
髪を振っても落ちない
髪に軽く乗っているだけ
取りやすさ 指でつまんでも動かない
爪でしごくようにしないと取れない
指で触ると簡単にパラパラと落ちる
かゆみ 強いかゆみを伴うことが多い かゆみがない、または軽度

※ヘアキャスト:毛根を包む組織の一部(毛鞘)が、フケのように剥がれて髪に付着したものです。病的なものではなく、害もありません。

お子さまの髪にフケのようなものを見つけたら、まずは指で軽くつまんでみてください。 簡単に取れればフケの可能性が高いですが、髪にしっかり固着している場合はアタマジラミの卵かもしれません。

感染経路は頭の接触がほとんどで不潔は関係ない

頭じらみに関して最も多い誤解は「不潔だからうつる」というものです。 これは明確な間違いであり、毎日の洗髪の有無にかかわらず誰でも感染します。

アタマジラミは翼を持たないので、飛んだり跳ねたりはできません。 人から人へは、髪の毛が直接触れ合うことで、まるで綱渡りのように移動します。 このため、正しい感染経路を知っておくことが予防と対策の鍵となります。

主な感染経路

  • 頭と頭の直接的な接触(最も多い)
    • 遊びやスポーツで頭や体を寄せ合う
    • 添い寝やきょうだいでのじゃれ合い
  • 物の共用による間接的な接触
    • 帽子、ヘルメット、ヘアゴム、カチューシャ
    • クシ、ヘアブラシ
    • タオル、枕カバー、シーツなどの寝具
    • 衣類(特に襟元に付着することがある)

集団生活を送る保育園や幼稚園、小学校で流行しやすいのは、子どもたちの距離が近く、頭を寄せ合う機会が多いためです。 プールの水の中でうつる心配はほとんどありませんが、その後のロッカーや脱衣所でのタオル、クシ、帽子の貸し借りには注意が必要です。

頭じらみは病気ではありませんが、誤った知識から差別やいじめにつながる懸念もあります。 ご家庭だけでなく、園や学校とも連携し、正しい知識を共有することが大切です。

虫体・卵の見た目と、ライフサイクルで分かる治療に必要な期間

頭じらみを確実に駆除するには、その一生(ライフサイクル)の理解が不可欠です。 アタマジラミは「卵→幼虫→成虫」と成長し、このサイクルを絶つことが治療のゴールになります。

  • 卵(約0.5mm)

    • 特徴
      • 乳白色~灰色の楕円形です。髪の根元近くに産み付けられ、簡単には取れません。
    • 期間
      • 約7~10日で孵化(ふか)して幼虫になります。
  • 幼虫(約1~2mm)

    • 特徴
      • 成虫とほぼ同じ形ですが、まだ小さい状態です。孵化後すぐに吸血を開始します。
    • 期間
      • 約7~10日で3回脱皮を繰り返し、成虫になります。
  • 成虫(約2~4mm)

    • 特徴
      • 灰色がかった細長い体で、頭皮を素早く動き回ります。
    • 期間
      • 寿命は約1ヶ月です。その間、メスは1日に5~10個、一生で50~150個もの卵を産み続けます。

このライフサイクルで最も重要な点は、市販の駆除薬の多くは幼虫と成虫にしか効かず、硬い殻に守られた卵には効果がないことです。

そのため、一度薬を使っても、生き残った卵から次々と幼虫が孵化してしまいます。 これが、頭じらみが「しつこい」と感じられる理由です。 卵が孵化するタイミングに合わせ、最低でも10日~2週間は治療を続ける必要があります。

皮膚科での診断方法と保険適用の有無

「頭じらみかもしれないけれど、確信が持てない」 「かゆみがひどくて、掻き壊してしまった」 このような場合は皮膚科を受診してください。

皮膚科での主な診断の流れ

  1. 問診
    • いつからかゆみがあるか、ご家族や周囲での流行の有無など、詳しい状況を伺います。
  2. 視診
    • 医師が直接、髪をかき分けて頭皮の状態を観察します。
    • 特にアタマジラミが好む耳の後ろや襟足などを念入りに探し、成虫や卵の有無を確認します。
  3. ダーモスコピー検査
    • 必要に応じて「ダーモスコープ」という特殊な拡大鏡や顕微鏡検査を行い、卵とフケやヘアキャストとをより正確に見分けます。

頭じらみ症と診断された場合、診察や検査には健康保険が適用されます。 しかし、治療の中心となる市販の駆除薬(スミスリンシャンプーなど)は医薬品ですが、保険適用外のため、ドラッグストアなどで自費購入となります。

スミスリンは効かない?頭じらみの主な治療法と4つの注意点

お子さんの頭にアタマジラミを見つけ、市販薬を試したものの「なかなか減らない」「本当に効いているの?」と不安に思う保護者の方は少なくありません。

アタマジラミの治療は、市販の駆除薬と専用のくしを使った物理的な駆除を組み合わせるのが基本です。 しかし、この治療がうまくいかない場合、主に2つの大きな理由が考えられます。

  1. 駆除薬が、硬い殻に守られた「卵」には効果がないこと。
  2. 駆除薬に耐性を持つ「抵抗性アタマジラミ」が増えていること。

これらの問題を解決し、確実にアタマジラミを駆除するためには、治療における4つの重要な注意点を理解することが不可欠です。 正しい知識を身につけ、焦らず着実に対処していきましょう。

スミスリンは効かない?頭じらみの主な治療法と4つの注意点
スミスリンは効かない?頭じらみの主な治療法と4つの注意点

市販薬スミスリンシャンプー(ピレスロイド系)の正しい使い方

ドラッグストアなどで購入できる「スミスリンシャンプー」は、「ピレスロイド系」に分類される医薬品です。 有効成分のフェノトリンが、アタマジラミの成虫や幼虫の神経に作用し、マヒさせることで駆除します。

しかし、この成分は卵の硬い殻には浸透しないため、決められた使い方とスケジュールを守ることが治療成功の鍵となります。

【スミスリンシャンプーの正しい使用手順】

  1. 乾いた髪に直接塗る
    シャンプー前の乾いた髪に、薬液を直接塗布します。
    髪が濡れていると薬液が薄まり、十分な効果が得られないためです。
    特に卵や虫が多い耳の後ろや襟足を中心に、髪の根元から毛先までしっかり揉みこんでください。
  2. 5分間放置する
    薬液をつけたまま、5分間待ちます。
    この時間に、有効成分がアタマジラミの体内に浸透します。
  3. 洗い流してから通常のシャンプーをする
    ぬるま湯で薬液をきれいに洗い流します。
    その後は、普段お使いのシャンプーやリンスを使用しても問題ありません。
  4. 3日に1度(2日おき)のサイクルを繰り返す
    これが最も重要なポイントです。
    薬で駆除できなかった卵は、約7~10日で孵化します。
    生き残った卵から幼虫がかえるタイミングに合わせて、3日に1度の使用を3~4回(合計で約10日間)繰り返すことで、新たに生まれたシラミを確実に駆除します。

アトピー性皮膚炎などで肌がデリケートなお子さんの場合、念のため腕の内側などで少量を試してから使うとより安心です。 もし使用中にかゆみや赤み、かぶれが出た際は、すぐに使用をやめて洗い流し、皮膚科へご相談ください。

注意すべきピレスロイド抵抗性アタマジラミの増加

「説明書どおりに使っているのに、生きた虫が全く減らない…」 その場合、「ピレスロイド抵抗性アタマジラミ」の可能性があります。

これは、長年ピレスロイド系の駆除薬が世界中で使われるうちに、薬が効きにくくなったアタマジラミのことです。 近年、この抵抗性を持つアタマジラミの増加が世界的な問題となっています。

海外の複数の研究をまとめた報告(メタアナリシス)によると、ヒトアタマジラミのピレスロイド抵抗性は世界平均で59%にものぼることが示されました。 特に深刻なのはその増加傾向で、2004年以前は33%だった抵抗性の割合が、2015年以降に調査されたシラミでは82%にまで急増しているのです。

別の研究報告でも、ピレスロイド抵抗性の平均頻度は76.9%と極めて高い数値が示されています。 インバウンドが盛んで海外からの旅行者が増えてきた日本でもこの抵抗性アタマジラミの存在は確認されています。

もし、正しい用法・用量を守ってスミスリンシャンプーを2~3回使用しても、生きた成虫や幼虫が減る気配がない場合は、抵抗性の可能性が高いと考えられます。

ピレスロイドが効かない時の新しい選択肢

そこで注目されているのが、アースしらみとりローションです。

この製品は、スミスリンなどと同じピレスロイド系ではなく、フェンチオン(Fenthion)という有機リン系の成分を使用しており、
この製品は、ピレスロイド系とは異なる有機リン系の成分(フェンチオン)を含んでいます。

有効成分と作用の仕組み

  • フェンチオン(Fenthion):有機リン系殺虫成分
    -ピレスロイドとは異なる神経麻痺の作用で、耐性じらみにも有効とされます

使用方法(2回使用が基本)

  1. 乾いた髪全体にしっかり塗布
  2. 10~30分間放置(シャワーキャップなどで密閉可)
  3. 洗い流してシャンプー
  4. 7日後にもう一度使用(計2回)

使用時の注意点

  • 目や口に入らないよう注意
  • 3歳未満は医師・薬剤師に相談
  • 皮膚に異常が出た場合はすぐ使用を中止し、受診を

薬剤と併用が必須な専用すきグシによる物理的駆除

駆除薬は成虫と幼虫を退治する強力な武器ですが、卵には効果がありません。 そのため、薬剤治療と並行して、専用の「すきグシ」で卵を物理的に取り除く作業が絶対に必要です。 この地道な作業を薬剤治療と並行することが、治療期間を短縮し、駆除を成功させるための重要なポイントです。

すきグシは、通常のくしとは異なり、歯と歯の間隔が0.2mm程度と非常に狭く作られています。 これにより、髪にセメントのような物質で固く付着した0.5mmほどの小さな卵を、こそぎ取ることができます。

【すきグシを効果的に使うコツ】

  • タイミング
    • 毎日、シャンプー後に髪が湿っている状態で行うのがおすすめです。リンスやコンディショナーをつけたまま梳くと、髪の滑りが良くなり、お子さんの痛みも和らぎます。
  • 準備
    • 髪をいくつかの束に分け(ブロッキング)、クリップで留めておくと、梳き残しなく効率的に進められます。白いタオルを肩にかけたり、白い洗面器の上で行ったりすると、取れた卵や虫が確認しやすくなります。
  • 方法
    • 髪の根元にすきグシの歯をしっかり当て、頭皮と平行に近い角度で、毛先までゆっくりと丁寧に梳いていきます。耳の後ろや襟足は特に念入りに行いましょう。
  • 確認
    • 一回梳くごとに、クシに付いた卵や虫がいないか確認し、ティッシュなどで拭き取ってから次の束に移ります。

卵の殻が残ってる?いつまで治療が必要?

治療のゴールは、「生きたアタマジラミ(成虫・幼虫)が頭髪からいなくなること」です。 そのための具体的な目安は以下のとおりです。

【治療終了の目安】

  1. スミスリンシャンプーの規定回数(3日に1度を3~4回)を完了する。
  2. その後、最低10日間~2週間、毎日すきグシでチェックし、生きた成虫や幼虫が1匹も発見されない状態が続けば、駆除は完了と考えてよいでしょう。

治療の途中で髪に付いている白い粒が、「生きている卵」なのか、孵化した後の「卵の殻」なのか、見分けに迷うことがあります。

項目 生きている卵 卵の殻(孵化後の抜け殻)
見た目 乳白色で光沢があり、ふっくらしている 白~茶褐色で光沢がなく、しぼんでいる
場所 髪の根元近くに付着している 髪の成長で根元から離れた位置にある
感触 指や爪でつまんでしごくと、プチっと潰れる感触がある 指でしごいても感触はなく、簡単につぶれる

卵の殻が残っていても、そこからシラミが生まれることはなく、感染の心配もありません。 しかし、見分けが難しい場合は、すきグシですべて取り除いておくと安心です。

駆除が完了した後も、園や学校で再び感染する可能性はゼロではありません。 週に一度はシャンプーの際などに頭をチェックする習慣をつけ、早期発見・早期対処を心がけましょう。

もう繰り返さない!家族と生活環境でやるべき3つのこと

お子さんのアタマジラミ治療で最も大切なのは、再発させないことです。 治療のゴールは、お子さん一人の頭からシラミがいなくなることだけではありません。 ご家族全員で対策し、生活環境からもアタマジラミを排除していくことが重要です。

せっかく治療しても、ご家族にうつっていたり、寝具に卵が残っていたりすると、感染を繰り返す「ピンポン感染」に陥ってしまいます。 この悪循環を断ち切るために、ご家庭で実践すべき3つのポイントを皮膚科専門医が詳しく解説します。

家族内感染のチェックと同時治療の重要性

お子さんにアタマジラミが見つかった場合、まず最初に行うべきはご家族全員の頭髪チェックです。アタマジラミは、添い寝やきょうだいでの遊びなど、髪が触れ合うことで簡単に感染します。 かゆみなどの症状がなくても、すでに感染している可能性は十分にあります。 感染に気づかずにいると、その人が新たな感染源となり、家庭内での流行が収まりません。

【家族内感染チェックのポイント】

  • 誰をチェックする?
    • 同居しているご家族全員が対象です。特にお子さんと一緒に寝ている保護者の方や、ごきょうだいは念入りに確認してください。
  • どこをチェックする?
    • アタマジラミが卵を産み付けやすい、耳の後ろや後頭部の髪の生え際(襟足)を重点的に見ましょう。
  • どうやって見分ける?
    • 髪をかき分け、光を当てながら観察します。フケと違い、アタマジラミの卵は髪にセメントのような物質で固着しているため、指でつまんでも簡単には取れません。

もしご家族の中に一人でもアタマジラミの感染が見つかったら、全員が「せーの」で一斉に治療を開始することが鉄則です。 駆除薬の使用や専用すきグシでの除去を同時に始めることで、家庭内でのピンポン感染を防ぐことで、治療の早期完了につながります。

寝具・タオル・衣類の洗濯方法と熱乾燥処理

アタマジラミは人の頭皮から離れると吸血できず、1〜2日程度で死んでしまいます。 しかし、その間に枕カバーやタオルを介して他の人にうつる可能性があるため、身の回りの環境整備も重要です。

アタマジラミの弱点は「熱」です。この弱点を突いた対策が非常に効果的です。

【物の種類別・効果的な駆除方法】

対象物 おすすめの駆除方法
シーツ・枕カバー
タオル・パジャマなど
① 60℃以上のお湯に5分以上浸してから、通常通り洗濯します。
② 洗濯後は、衣類乾燥機で熱を加えて乾かすとより効果的です。
③ 乾燥機がない場合は、スチームアイロンをかけることでも代用できます。
クシ・ブラシ
ヘアゴム・髪飾りなど
① 熱に強い素材なら、60℃以上のお湯に5分以上浸します。
② 熱に弱い場合は、ビニール袋で密封し2週間放置します。卵が孵化しても吸血できず、餓死させることができます。
ソファ・カーペット
車のシートなど
毎日こまめに掃除機をかけましょう。粘着式のカーペットクリーナーも有効です。部屋中に殺虫剤をまく必要はありません。

駆除薬での治療を開始した日から、これらの対策を並行して行いましょう。 ただし、過度に神経質になる必要はありません。アタマジラミは人の頭から離れると長くは生きられないことを念頭に置き、できる範囲で対処することが大切です。

学校や保育園への報告は必要?プールの参加について

お子さんのアタマジラミがわかった際、園や学校への報告をためらう保護者の方は少なくありません。 しかし、集団発生を防ぐためには、速やかに報告することが強く推奨されます。

隠してしまうと、知らないうちに他のお子さんへ感染が広がり、結果的に治療を終えたお子さん自身が再感染するリスクを高めてしまいます。 報告の際は、「アタマジラミは不潔だからうつるわけではない」という事実と、「すでに治療を開始している」ことを冷静に伝えましょう。

**学校保健安全法では、アタマジラミは「通常は出席停止の必要はない感染症」**と定められています。 原則として園や学校を休む必要はありませんが、念のため園や学校独自の方針を確認しておくとより安心です。

【プールの参加について】 プールの水の中でアタマジラミがうつる可能性は極めて低いと考えられています。 しかし、注意すべきはプールサイドや更衣室での行動です。

  • タオルの貸し借り
  • クシやヘアブラシの共用
  • ロッカーでの衣類の接触

これらが感染の原因となる可能性があります。 治療を開始していればプールの参加自体は問題ないことが多いですが、持ち物を共用しないよう、お子さんによく言い聞かせることが大切です。 心配な場合は、園や学校、または主治医にご相談ください。

まとめ

今回は、お子さんの頭にアタマジラミを見つけたときの対処法について、詳しく解説しました。 突然のことで驚き、不安に感じた方も多いかもしれません。 しかし、最も大切なのは「アタマジラミは不潔が原因ではない」ということです。誰にでも感染する可能性があり、正しい知識があればご家庭で適切に対処することができます。

治療の鍵は、駆除薬と専用のすきグシを正しく併用し、卵まで根気強く取り除くこと。そして、ご家族みんなで一斉に対策し、ピンポン感染を防ぐことです。

もし対処法に迷ったり、治療がうまくいかないと感じたりしたときは、一人で抱え込まず、いつでも皮膚科などの専門家に相談してくださいね。

参考文献

  1. 世田谷区世田谷保健所. アタマジラミ対策対応マニュアル.
  2. Mohammadi J, et al. Frequency of pyrethroid resistance in human head louse treatment: systematic review and meta-analysis.
  3. Ebrahim Abbasi et al. Evaluation of resistance of human head lice to pyrethroid insecticides: A meta-analysis study.

追加情報

タイトル: アタマジラミ対策対応マニュアル 著者: 世田谷区世田谷保健所 (令和3年11月)

概要:

  • アタマジラミは主に幼児や小学校低学年の頭髪に寄生し、吸血によりかゆみを引き起こす。
  • 不潔が原因で発生するわけではなく、清潔にしていても感染する。また、病気を媒介することもない。
  • 感染は主に頭髪の触れ合いや、帽子、クシ、寝具などの共用物によって広がる。手で触っただけでは感染しない。
  • アタマジラミ症の子どもの登園・登校は、原則として制限する必要はない。
  • 薬剤(フェノトリン)に対する抵抗性を持つアタマジラミが出現しているため、薬剤だけに頼らず、専用すきグシによる物理的駆除が有効な対策として推奨される。
  • 施設と保護者が連携し、アタマジラミに関する正しい知識を共有し、差別やいじめを防ぐこと、そして早期発見・早期対応・予防策(日常的な頭髪チェック、丁寧な洗髪、共用物の管理)を徹底することが重要である。

要点:

  • アタマジラミは清潔・不潔に関係なく感染し、病気を媒介しないため、感染者に対する差別やいじめにつながらないよう、正しい知識と配慮が不可欠である。
  • アタマジラミの卵は、フケと異なり毛髪にしっかり固着しているため、爪でしごかなければ取れないことで見分けられる。
  • 感染経路は主に頭髪同士の接触や、クシ、帽子、寝具などの共用物であり、プールでの水中感染は考えにくいが、更衣室での注意が必要である。
  • 薬剤抵抗性のアタマジラミが増加傾向にあり、専用すきグシを用いた物理的な駆除(卵や幼虫、成虫の除去)が効果的な対策として推奨される。
  • 施設では集団発生時の対応として、職員の適切な心構え、登園・登校判断、共用物の管理、昼寝時の配慮、こまめな清掃が求められる。
  • 保護者への対応においては、誤解を解消し、家庭での頭髪チェック、丁寧な洗髪、共用物の管理を促すとともに、保健所が相談窓口として協力体制を築く。

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タイトル: Frequency of pyrethroid resistance in human head louse treatment: systematic review and meta-analysis 著者: Mohammadi J, et al.

概要:

  • 頭シラミ (Pediculus humanus capitis) は世界的に一般的な寄生虫であり、社会経済的・公衆衛生的に悪影響を及ぼす。
  • 局所殺虫剤に対する遺伝的非感受性(ノックダウン抵抗性、kdr)の発展が効果的な治療を阻害している。
  • 本研究は、2000年初頭から2021年6月末までの期間における、治療された頭シラミ集団のピレスロイド抵抗性頻度を系統的にレビューし、メタアナリシスを行った。
  • 初期サンプルサイズ5033件から、24報の英語論文が系統的レビューに採用された。
  • データは、固定効果モデルおよび変量効果モデルテスト、Cochrane、メタ回帰、I2指数を用いて統計解析された。

要点:

  • ピレスロイド抵抗性の平均頻度は76.9%と推定された。
  • 収集された抵抗性シラミのうち、64.4%がホモ接合体抵抗性、30.3%がヘテロ接合体抵抗性であった。
  • オーストラリア、イングランド、イスラエル、トルコの4カ国ではkdr遺伝子頻度が100%であり、これはピレスリン系およびピレスロイド系駆除剤の非効果性につながる可能性が高い。
  • これらの研究で記録された最も高い抵抗性はペルメトリンに対してであった。
  • ピレスロイド抵抗性は多くの国で比較的高頻度で検出されており、現在の殺虫剤による治療は効果がない可能性があり、感染レベル増加の一因となっている可能性がある。
  • 殺虫剤治療の有効性を高めるために、治療前に抵抗性状況を評価することが推奨される。

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タイトル: Evaluation of resistance of human head lice to pyrethroid insecticides: A meta-analysis study 著者: Ebrahim Abbasi et al.

概要:

  • アタマジラミ症はヒトにおける寄生性シラミによる一般的な感染症であり、ピレスロイド系殺虫剤はその主要な治療法の一つである。
  • 近年、シラミのピレスロイド系殺虫剤に対する抵抗性が報告されており、その殺虫効果が低下している。
  • 本研究は、世界中でピレスロイド系殺虫剤に対するアタマジラミの抵抗性の有病率をメタアナリシスによって調査することを目的とした。
  • PubMed/MEDLINE, Web of Science (ISI), Scopus, Google Scholarの各データベースから、2022年6月までの全期間にわたる関連論文を抽出し、ランダム効果メタアナリシスモデルを用いて統計解析を行った。
  • メタアナリシスには20の研究が採択され、ヒトアタマジラミにおけるピレスロイド抵抗性の有病率は59%と推定された。
  • ピレスロイド抵抗性の有病率は2004年以前は33%であったが、2015年以降には82%に増加していることが示された。
  • 地域ごとのピレスロイド抵抗性の有病率を事前に調査し、抵抗性が高い場合には代替または併用治療法の使用が推奨される。

要点:

  • ヒトアタマジラミにおけるピレスロイド系殺虫剤への抵抗性の世界的な有病率は59%(95%信頼区間: 50%-68%)と推定された。
  • ピレスロイド系殺虫剤の中で、ペルメトリンに対する抵抗性の有病率が最も高く65%であった。
  • ピレスロイド抵抗性の有病率は経年的に増加しており、2004年以前は33%だったのに対し、2015年以降は82%に達している。
  • 抵抗性の診断方法別では、遺伝子診断法による抵抗性推定値が68%と、臨床診断法(43%)より高かった。
  • アタマジラミ症の治療にピレスロイド系殺虫剤を使用する前に、その地域の抵抗性有病率を調査し、高抵抗性が認められる場合は代替または併用療法を検討することが推奨される。

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