美容をサポートする内服薬について

「飲むだけでシミを消すような薬があったらなぁ…」と思うことはないでしょうか。院長も美容皮膚科治療を行いながら、いつもそんなことを考えてしまいます。しかし残念ながら、内服薬だけでシミを消すことはできません。
とはいえ、日焼け後のダメージを軽減したりレーザー治療などの治療の効果を高めたり、抗酸化成分で体の内側から美白ケアができるビタミンCや肝斑に有効性か認められているトラネキサム酸などは、特徴を活かして上手に活用すれば、より効果的にシミを薄くし色戻りを予防し肌の状態を改善することが可能です。
その多くはシミの原因となるメラニンの合成にアプローチする様々な成分が配合されており、シミ、くすみ、肝斑などの肌悩みに対するサポートが期待できます。
ただ効果を実感するにはある程度の期間が必要だったり、他の内服薬の併用ができず使えないことも。 この記事では、美白内服薬の効果的な服用期間や副作用リスクに加え、代表的な成分の特徴や注意点などを分かりやすく解説していきます。 自分にぴったりの美白内服薬を見つけて、透明感のある明るい肌を目指しましょう!
美白内服薬で期待できる効果とメカニズム
「美白内服薬」って、まるで飲むだけでお肌が白くなってシミが消える魔法の薬のように聞こえますよね。 しかし、残念ながら「今あるシミ」を薄くすることはできません。
美白内服薬は、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたり、排出を促進したりすることで、シミやくすみの予防に役立つとされています。 つまり、メラニンの生成プロセスに働きかけて、お肌の色素沈着をコントロールしようとするものなのです。
ですから、レーザー後などの炎症後色素沈着予防など、美容皮膚科治療の効果をさらに高める時に威力を発揮します。またお肌の細胞の生まれ変わりであるターンオーバーのサイクルは約1ヶ月と言われています。効果を実感するためには、継続的な使用が推奨されます。また肝斑やそばかすでは、もともとメラニンを作りやすい肌質のため、継続的に飲むことで悪化を抑える効果も期待されます。
シミ・そばかすへの効果
シミは肌画像診断機(VISIA)で見てみると、その下に赤みがあることが多く見られます。これは、常にシミの部位には炎症が起きていてメラニンを作ってしまう状態であることを表しています。また肝斑やそばかすなどは元々の肌質が影響していますが、この状態では紫外線や摩擦刺激でメラニンを作りやすい状態であることがわかっています。ひと夏を超えるとシミが増えていたり、濃くなっているのに気づくことも…
美白内服薬はこういった状態の時に、サポートが期待できます。
例えばビタミンCはメラニンの生成を抑える働きが強い成分ですが、それだけでなくコラーゲンを増やす働きで紫外線による皮膚の弾力性(キメ・はり感)の低下を改善する効果も期待できます。
また、トラネキサム酸は本来炎症を抑える成分なので、常に頬など特定の部位に炎症が起きている状態である肝斑や、ニキビ跡などのシミ(炎症後色素沈着)やレーザー治療後の色戻りの予防にも効果が期待できます。ただし、女性ホルモン剤の使用中や脳梗塞・心筋梗塞といった血管が詰まってしまう持病のある方には使えません。内服できない場合は、微弱な電流を用いて皮膚の細胞内に直接ビタミンCやトラネキサム酸などを浸透させるエレクトロポレーション(当院ではケアシスという機械を用いています)を行うことも効果的です。
これらの成分は、肌の奥深くにあるメラノサイトという細胞に働きかけて、メラニンの生成を抑えたり、メラニンを合成するのを防ぐ手助けをしてくれます。
くすみへの効果
くすみは、お肌の透明感が失われ、顔色が悪く見えてしまう状態です。例えるなら、お肌に薄いベールがかかっているような状態と言えるでしょう。くすみの原因は様々ですが、古い角質が溜まっていたり、血行が悪くなっていたり、乾燥、紫外線によるダメージ、肌のターンオーバーの乱れなどが考えられます。
美白内服薬の中には、このくすみを改善する効果が期待できるものもあります。
ビタミンCは、抗酸化作用でお肌の酸化ストレスを軽減し、透明感をアップしてくれる効果も期待できます。
また、L-システインは、体内の代謝を助け、肌のターンオーバーを促進する効果があるので、くすみの改善に役立ちます。ターンオーバーが促進されると、古い角質が剥がれやすくなり、新しいお肌が生まれやすくなるので、お肌の透明感がアップして、明るい印象になります。
肝斑への効果
肝斑は、頬骨の高い位置に左右対称に現れる、モヤッとした境界の不明瞭なシミです。30~40代の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化や紫外線などが原因と考えられています。通常のシミと違って点ではなく、特定のエリア(面)が常にくすんでメラニンを作りやすい状態の肌質という感じです。(正確には、表皮と真皮の間の基底層という部分の機能が障害されています。)
肝斑は、他のシミと比べてレーザーなどの治療が難しいと言われており、まず第一選択となるのが美白内服薬、特にトラネキサム酸の内服と、皮膚への摩擦などの刺激を徹底して避けるスキンケアです。
トラネキサム酸は、メラニン生成を促すメラノサイトの活性化を抑えたり、炎症を抑えたりする効果があるので、肝斑の治療に効果的です。
肝斑と言っても実は重症度は様々で、どんなにマイルドな美容皮膚科治療でも悪化してしまう方もいれば、軽症でレーザー治療も普通に行えるが、強い照射をすると通常よりも色素沈着が強く起きるというよう方まで様々です。肝斑の治療においては、まず美白内服薬に加えて、こうした肝斑の重症度を見極めながらレーザー治療などの他の治療法と組み合わせることもあります。
炎症後色素沈着への効果
炎症後色素沈着は、ニキビや虫刺され、火傷など、お肌に炎症が起きた後に残ってしまうシミのことです。炎症が起きた後、メラノサイトが刺激されて、メラニンが過剰に作られてしまうことが原因です。
実は、レーザー治療後にも一時的に炎症が起こるため、炎症後色素沈着のリスクがあります。特にアジア人は白人と違って元々炎症後の色素沈着を起こしやすい人種であり、ある研究では、532nm QスイッチNd:YAGレーザーという種類のレーザー治療を受けた患者さんのうち、約半数に炎症後色素沈着が見られたという報告もあります。
美白内服薬は、炎症後色素沈着の予防に役立つとされています。ビタミンCは、抗酸化作用によって炎症を抑え、メラニンの生成を抑える効果があります。トラネキサム酸も、炎症を抑える効果が高い成分なので、炎症後色素沈着の予防や改善に効果が期待できます。
炎症後色素沈着は、早めのケアが重要です。炎症が起きてしまった後、なるべく早く美白内服薬の服用を開始することで、シミの予防や改善効果が期待できます。
にきび跡への効果
思春期ニキビが治った後も、赤みや色素沈着がなかなか消えないことってありますよね。これは、ニキビによって皮膚の奥深くで炎症が起きてしまい、メラニンが過剰に作られてしまうことが原因です。
ニキビ跡に対するケアとして、ビタミンCが含まれる製品が使用されることがあります。ビタミンCは、メラニン生成を抑える働きがあるとされ、ニキビ跡の赤みのケアに用いられることがあります。また、ビタミンCはメラニンの生成を抑える効果もあるので、ニキビ跡の色素沈着を薄くする効果も期待できます。
ニキビ跡(色素沈着)の治療は、根気強く続けることが大切です。ビタミンCを配合した美白内服薬を継続的に服用することで、ニキビ跡の改善効果が期待できます。
美白内服薬の代表的な成分と特徴
このように美白内服薬は、お肌の中でメラニンが作られるプロセスに働きかけて、シミやくすみを薄くしていくものです。同じような効果が期待できるものもありますが、その作用機序は少しずつ異なっているため、併用することも大変効果的です。当院でも取り扱っているビタミンC、トラネキサム酸、ビタミンE、Lーシステイン、それぞれの効果について見ていきましょう。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCは、美肌に良いとよく耳にする成分ですよね。レモンやイチゴなどの果物に多く含まれていますが、サプリメントでも手軽に摂取できます。
ビタミンCの美白作用の秘密は、メラニン生成を抑える働きにあります。メラニンは、紫外線などの刺激からお肌を守るために作られる色素ですが、過剰に作られてしまうと、シミやそばかすの原因になってしまいます。
ビタミンCは、メラニンを作る工場で働く「チロシナーゼ」という酵素の働きを抑え、メラニンの過剰な生成を防ぎます。また強力な抗酸化・還元効果でメラニンを薄くする効果も期待できます。
当院では、日焼け後のシミやそばかすが気になる患者さんには、ビタミンCの内服を勧めることがあります。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助ける働きもあり、お肌にハリと弾力を与えてくれる効果も期待できます。まさに、美肌作りには欠かせない成分と言えるでしょう。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、アミノ酸の一種で、医療現場では止血剤として使用されることが多い成分ですが、実は、美白効果も期待できる成分なんです。
トラネキサム酸は、メラニンの生成を抑える働きがあるとされています。また、炎症を抑える作用もあるので、ニキビや肌荒れに対するサポートが期待できます。
トラネキサム酸は、特に肝斑に効果があるとされており、当院でも肝斑に悩む多くの患者さんに処方しています。肝斑は、頬骨の高い位置に左右対称に現れる、モヤッとした境界の不明瞭なシミで、30~40代の女性に多く見られます。ホルモンバランスの変化や紫外線などが原因と考えられていますが、はっきりとした原因は解明されていません。
トラネキサム酸は、肝斑部位に見られる炎症を抑えることが期待されることがあります。ただし、女性ホルモン剤(低用量ピルなど)の内服中の方や脳梗塞・心筋梗塞などの血管が詰まるような病気のある方は血栓リスクを悪化させる可能性が否定できず内服することができないため、トラネキサム酸配合の化粧品を用いたり、微弱な電流を用いて肝斑部位に直接浸透させるエレクトロポレーションを行うことも効果的です。
ただし、過度に血栓傾向を恐れるのではなく、元々そうした血栓を作りやすいリスクのある方のリスクをわずかでも上げる可能性があるために併用しないのであって、特にそのような既往のない方では元々なかったリスクを上げる訳ではないとも言われています。とはいえ美容目的での内服となるため、健康診断などで年に1回など定期的に採血を行っている方であれば休薬をせず使うこともありますが、一般的には夏場の肝斑が悪化する時期やレーザー治療前後はしっかり内服を行なっておき、美容治療をしないタイミングや真冬で肝斑の悪化しない時期、あるいは年末年始で人と会う機会が多いタイミングなどを見計らって1−2ヶ月程度の休薬を行いながら続けることが多いです。個人のライフスタイルに合わせ調節しますので、当院スタッフや医師にご相談ください。
ビタミンE
ビタミンEは、アーモンドやアボカドなどのナッツ類、ウナギやイワシなどの魚介類に多く含まれている栄養素です。強い抗酸化作用を持つことで知られており、「老化のビタミン」とも呼ばれています。
紫外線やストレスなどによって体内に発生する活性酸素は、シミやしわ、たるみなどの肌老化の原因となります。ビタミンEは、この活性酸素を除去することで、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
また、ビタミンEには、血行を促進する効果もあるため、肌に栄養が行き渡りやすくなり、くすみを改善したり、肌のターンオーバーを促進したりする効果も期待できます。
ただしビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、過剰に摂取すると、体に蓄積されてしまい、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。サプリメントで摂取する場合は、1日の摂取目安量を守ることが大切です。
L-システイン
L-システインはアミノ酸の一種で、体内でも生成されますが、食事からも摂取することができます。レバーやニンニク、納豆、牛乳などに多く含まれています。
L-システインはメラニン生成を抑制する効果に加えて、メラニンを無色化する働きもあるため、シミやそばかすを増やさない、濃くならない効果が期待できます。また、コラーゲンの生成を促進する効果や、活性酸素を除去する効果もあるため、美肌効果が期待できます。
L-システインは、医薬品やサプリメントとして販売されています。サプリメントで摂取する場合、1日の摂取目安量を守って服用することが大切です。L-システインは、過剰に摂取すると、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
美白内服薬を使う上での注意点
効果的な服用期間
美白内服薬の効果が実感できるまでの期間は、個人差はありますが一般的には3ヶ月程度と言われています。これは、肌のターンオーバー(生まれ変わり)のサイクルと深く関係しています。肌の細胞はおよそ28日間かけて生まれ変わりますが、年齢を重ねるとこのサイクルが遅くなる傾向があります。美白内服薬の効果を最大限に引き出すためには、このターンオーバーのサイクルに合わせて、少なくとも3ヶ月は継続して服用することが大切です。
美白内服薬も、毎日コツコツと服用することでシミやくすみのない、透明感のある肌に近づいていきましょう。
美白内服薬の効果は、服用する人の体質や生活習慣、そしてシミの種類や程度によって大きく変わる可能性があります。3ヶ月服用しても効果が実感できない場合は、医師に相談して、自分に合った治療法を検討してみるのも良いでしょう。
また、こうした美容目的での内服薬は保険適応ではありません。たまに保険で処方されているケースを見かけますが、医師と共に患者さんも違法行為に加担することになってしまうため、当院では法令を遵守し自費での処方としています。単品だと1ヶ月分2,200円〜、ビタミンCやトラネキサム酸などのセットでも1ヶ月数千円〜ですので、気になる方はご相談ください。
副作用のリスク
美白内服薬は、正しく服用すれば安全性の高い薬ですが、体質や体調によっては、副作用が現れる可能性もあります。主な副作用としては、吐き気や胃痛などの胃腸症状、皮膚の発疹などがあります。また、ビタミンCを大量に摂取すると、下痢になることがあります。
副作用のリスクを減らすためには、まず、決められた量を守って服用することが大切です。また、持病がある方や、他の薬を服用している方は、事前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。服用中に、気になる症状が現れた場合は、自己判断で服用を続けずに、すぐに医療機関を受診してください。
特に、妊娠中や授乳中の方は、服用する前に必ず医師に相談してください。また、ビタミンCを含むサプリメントや健康食品と併用する場合も、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
生活習慣の改善
美白内服薬の効果をさらに高めるためには、生活習慣の見直しも大切です。特に、食生活、睡眠、紫外線対策は、美肌作りに欠かせない要素です。
- 食生活: ビタミンC、E、A、B群などを豊富に含む、バランスの取れた食事を心がけましょう。ビタミンCは、ピーマン、ブロッコリー、レモンなどに多く含まれています。ビタミンEは、アーモンド、アボカド、かぼちゃなどに多く含まれています。
- 睡眠: 睡眠不足は、肌のターンオーバーを乱し、シミやくすみの原因になります。質の高い睡眠を十分に取るように心がけましょう。
- 紫外線対策: 紫外線は、シミ、そばかすの最大の原因です。外出時は、日焼け止めクリームを塗ったり、帽子や日傘を着用するなど、紫外線対策をしっかり行いましょう。
- 適度な運動: 適度な運動習慣により基礎代謝を上げることは、実は美肌にも欠かせません。ダイエットしてウエストだけ痩せたいと言っても無理なように、まず体全体の代謝を良くすることも大事です。(院長は老化対策のため、週に1回は必ずジムで筋トレをしています。)
美白内服薬と生活習慣の改善、この二つを組み合わせることで、内側と外側の両方から美肌を目指しましょう。
医師との相談
美白内服薬は、ドラッグストアなどでも購入できますが、より効果を実感したい場合や、自分に合った成分や量がわからない場合は、医療機関を受診し、医師に相談してみるのも良いでしょう。当院でも肌の状態や体質などを考慮した上で、最適な治療法を提案いたします。
まとめ
美白内服薬は、シミの原因となるメラニンの生成を抑える成分が含まれていることがあります。効果を実感するには、肌のターンオーバーを考慮し、3ヶ月程度の継続摂取が必要です。
代表的な成分としては、メラニン生成を抑えるビタミンC、炎症を抑え、肝斑にも効果的なトラネキサム酸、抗酸化作用を持つビタミンE、メラニン生成抑制と無色化作用を持つL-システインなどがあります。
効果的な服用期間や副作用、生活習慣改善、医師への相談の必要性などを理解した上で、自分に合った美白内服薬を選びましょう。
シミ治療など当院での美容皮膚科治療をご検討の方は、お電話とウェブ予約が可能です。初診カウンセリングのみでしたらウェブ予約も承っておりますが、当日の施術もご希望の方は(機械などの枠を押さえる必要がありますので)お電話でお問い合わせください。当院へのご予約はこちらです。
また当院では皮膚科専門医による保険診療も行なっております。こちらのWEB予約は前日までとなっておりますので当日のご予約はお電話にてご相談ください。美容皮膚科での自費診療は完全予約制となっております。当日施術ご希望の場合は必ずお電話でご予約ください。
参考文献
- 日本香粧品学会誌(1880-2532)47巻2号 Page117-126(2023.06)「シミのメカニズムから治療まで」
- Liao X, Cheng F, Jiang Y. “Efficacy and safety of mesotherapy with tranexamic acid versus vitamin C in the treatment of melasma: A meta-analysis and systemic review.” Journal of cosmetic dermatology 23, no. 9 (2024): 2785-2792.
- Mohseni S, Tabatabaei-Malazy O, Ejtahed HS, Qorbani M, Azadbakht L, Khashayar P, Larijani B. “Effect of vitamins C and E on cancer survival; a systematic review.” Daru : journal of Faculty of Pharmacy, Tehran University of Medical Sciences 30, no. 2 (2022): 427-441.
