それって水虫(白癬)?日常生活での注意点は?
「水虫かな?」と思ったら、まずは市販薬などを使用するのではなく、皮膚科を受診しましょう。 水虫は、白癬菌というカビが原因で、日本人の約13.7%が罹患しているという調査結果もある、身近な病気です。
しかし、放置すると症状が悪化したり、周囲の人へ感染を広げてしまったりするリスクがあります。 初期症状は、足の指の間が痒い、皮がめくれるなど、軽微な場合が多いですが、放置すると爪が変形したり、細菌感染を起こし、日常生活に支障をきたす可能性も。
この記事では、水虫の種類、感染経路、治療法、予防策などを詳しく解説します。 水虫を正しく理解し、適切な対策を講じることで、健康な毎日を送りましょう。
水虫かな?と思っても…診断前に市販外用薬を塗ってはダメ!その理由とは。
水虫かな?と思って、まず考えるのが市販薬の外用剤。でもこれは皮膚科医の視点からは全くお勧めできません。水虫かどうかの診断には顕微鏡での検査が必須ですが、安易に薬を塗ってしまうと、本当は菌がいたけど見えなくなってしまったのか、または全く別の病気なのかが分からないため、間を開けてもう一度検査をしなければなりません。
受診の二度手間を防ぐためにも、市販の水虫治療薬は診断前には絶対に使わないようにしましょう。
水虫(白癬)ってどんな病気?症状と種類
水虫とは、正式名称を「白癬」といい、白癬菌(はくせんきん)というカビが、皮膚の角質層に寄生し、増殖することで起こる感染症です。高温多湿な環境を好む白癬菌は、人の皮膚に住み着きやすく、特に足は、靴下や靴を履くことで蒸れやすいため、水虫(足白癬)ができやすい部位です。
水虫は、感染した人の皮膚や角質が剥がれ落ちたものに接触することで感染します。例えば、家族に水虫の人がいて、その人が使ったバスマットやスリッパを共用することで感染するケースが多く見られます。
また、白癬菌は、高温多湿な環境であれば、床や畳など、あらゆる場所に潜んでいる可能性があります。そのため、公共の場でも感染のリスクは潜んでいます。
水虫(白癬)の原因と特徴
水虫の原因となる白癬菌は、私たちの身の回りに普通に存在しているカビの一種です。しかし、誰でも白癬菌に接触したからといって水虫になるわけではありません。白癬菌が皮膚に付着しても、必ず感染するわけではありません。
しかし、高温多湿な環境や、皮膚が清潔でない状態が続くと、白癬菌が皮膚に侵入しやすくなり、増殖して水虫を発症してしまいます。
特に、足は汗をかきやすく、靴下や靴を履くことで蒸れやすい環境になりがちです。また、足は体の中でも末端に位置するため、血行が悪くなりがちで、白癬菌が増殖しやすい環境でもあります。
足に多い水虫(足白癬)の症状
足白癬は、水虫の中でも最も多く見られるタイプで、日本人の約13.7%が足白癬に罹患しているという調査結果もあります。足白癬は、白癬菌の種類や感染部位によって、いくつかのタイプに分けられます。
趾間型(しかんがた): 足の指の間が白くふやけ、皮がめくれたり、ジュクジュクしたりします。かゆみが強く、悪化すると、亀裂ができ、痛みを伴うこともあります。
小水疱型(しょうすいほうがた): 足の裏や側面に、小さな水ぶくれ(水疱)がたくさんできます。水ぶくれはかゆみを伴い、かきむしってしまうと、細菌感染を起こし、皮膚が赤く腫れ上がったり、痛みが出たりすることがあります。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた): 足の裏やかかとがガサガサと厚く、硬くなって、ひび割れてしまうことがあります。かゆみはほとんどない場合が多いですが、ひび割れから細菌感染を起こしやすいため注意が必要です。
爪の水虫(爪白癬)の症状
爪白癬は、白癬菌が爪に感染することで起こります。多くは、足白癬を長期間放置することで、白癬菌が爪にまで侵入して発症します。
初期症状としては、爪の先が白っぽく濁り、そのうちに爪が厚くなってもろくなり、ボロボロと崩れやすくなることもあります。
爪白癬は、見た目の問題だけでなく、放置すると爪が変形したり皮膚にも菌が広がったり、患部から細菌感染を起こしたり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。爪白癬は、初期症状がほとんどないため、気づかずに放置してしまう人が多いです。しかし、適切な治療を行わないと、完治までに時間がかかり、再発を繰り返す可能性もあります。
その他の水虫(体部白癬、頭部白癬など)
白癬菌は、足以外にも、体や頭皮など、体の様々な部位に感染し、水虫を引き起こす可能性があります。
体部白癬(たいぶはくせん): 体幹や顔、首、腕、脚などに、白癬菌が感染することで起こります。紅斑(こうはん)と呼ばれる、小さく盛り上がった赤い発疹ができ、次第に周囲に広がっていくのが特徴です。中央部は治癒していくため、輪のような形になることが多く、「ぜにたむし」とも呼ばれます。
頭部白癬(とうぶはくせん): 頭皮に白癬菌が感染することで起こります。かゆみを伴う円形の脱毛斑ができたり、フケがたくさん出たりします。「しらくも」とも呼ばれ、特に、子供に多く見られます。
股部白癬(こぶはくせん): 太ももの付け根や陰部に、赤みやかゆみ、湿疹のような症状が出ます。高温多湿な環境を好む白癬菌は、汗をかきやすい股部に感染しやすく、特に男性に多く見られます。「いんきんたむし」とも呼ばれます。
臀部白癬(でんぶはくせん): お尻に、赤みやかゆみ、湿疹のような症状が出ます。
これらの水虫も、足白癬や爪白癬と同様に、白癬菌への感染によって起こります。白癬菌は、タオルや衣類を使い回して共用したり、長時間接触したりすることで感染するため、注意が必要です。
日常生活で気をつけたい水虫(白癬)の感染経路
水虫(白癬)は、白癬菌というカビの一種が原因で皮膚に感染し、炎症や痒みを引き起こす病気です。白癬菌は、高温多湿な環境を好み、人の皮膚の角質層に存在するケラチンというタンパク質を栄養源にして増殖します。
水虫は、感染者の皮膚から剥がれ落ちた角質に付着した白癬菌に触れることで感染します。症状が出ている部分だけでなく、一見健康そうに見える皮膚にも白癬菌は潜んでいる可能性があります。そのため、感染経路を理解し、日常生活で適切な予防策を講じることが重要です。
水虫(白癬)は人にうつる?
水虫は、人から人へとうつります。白癬菌が、感染している人の皮膚から剥がれ落ちた角質に潜んでいて、それがタオルや床などを介して、別の人に移ることで感染が広がります。特に、家族間では、バスマットやスリッパなどを共有することで感染しやすいので注意が必要です。
例えば、家族に水虫の方がいて、その方が使ったバスマットを共用した場合、白癬菌がバスマットに付着し、それを介して家族に感染する可能性があります。
バスマットやスリッパは要注意!家庭内での感染
家庭内での水虫の感染を防ぐためには、バスマットやスリッパなど、家族で共有するものを介した白癬菌の移動を防ぐことが重要です。バスマットは、使用後すぐに洗濯するか、風通しの良い場所で乾かして、菌の増殖を抑えましょう。スリッパも、家族それぞれで使い分けたり、定期的に洗濯したりすることが重要です。また、床に落ちた髪の毛やフケにも白癬菌が付着している可能性があるので、こまめな掃除を心がけましょう。
特に、足白癬の患者さんの場合、足の裏の角質が剥がれ落ちやすいため、バスマットや床に白癬菌が付着しやすくなります。これらのものを介して、家族に水虫がうつってしまう可能性があります。
プールや温泉など、公共施設での感染
プールや温泉、スポーツジムなどの公共施設は、多くの人が利用するため、白癬菌が存在する可能性があります。高温多湿な環境であるプールや温泉は、白癬菌の増殖に適した環境です。床やマット、スリッパなどを介して感染するリスクが高まります。
プールや温泉を利用する際は、素足で歩くことを避け、必ずスリッパを着用しましょう。また、施設を利用した後は、足を丁寧に洗い、よく乾燥させることが大切です。特に、免疫力が低下している方や皮膚のバリア機能が弱い方は、感染のリスクが高まるため、より注意が必要です。
中国などの開発途上国を含む世界中の思春期前の子供たちの中で、頭部白癬は最も一般的な表在性真菌感染症であり、子供の共同生活の場で発生する可能性が高いという報告もあります。頭部白癬は、非常に伝染性が高く、膿疱性病変を伴う場合は、永続的な瘢痕(かんこん:傷跡)と脱毛につながる可能性があり、影響を受けた子供とその両親に大きな心理的負担をかける可能性があります。
水虫(白癬)を放置するリスク
水虫は、適切な治療を行えば治る病気ですが、放置すると症状が悪化したり、周囲の人へ感染を広げてしまったりするリスクがあります。また、重症化すると、細菌感染を併発し、痛みや腫れを伴うこともあります。さらに、水虫を放置することで、爪が変形したり、皮膚が硬くなってしまったりするなど、見た目の問題も生じやすくなります。
例えば、足白癬を放置すると、白癬菌が爪に侵入し、爪白癬を発症する可能性があります。爪白癬は、足白癬よりも治療が難しく、完治までに長期間を要するケースも少なくありません。また、足白癬が悪化すると、皮膚に亀裂が生じ、そこから細菌感染を起こす可能性があります。細菌感染を起こすと、患部が赤く腫れ上がり、強い痛みを伴うことがあります。
早期に治療を開始することで、これらのリスクを減らすことができるため、水虫かな?と思ったら、自己判断せずに、早めに皮膚科を受診しましょう。
水虫(白癬)の治療法と予防
水虫(白癬)かな?と思ったら、自己判断せずに、まずは皮膚科を受診しましょう。水虫は白癬菌というカビが原因で、放っておくと症状が悪化したり、他の部分に広がったりする可能性があります。
例えば、最初は足の指の間が少し痒いだけだったのに、自己流で市販薬を塗っていたら、いつの間にか足の裏全体に広がってしまい、皮がボロボロとむけてしまう、なんてことにもなりかねません。さらに悪化すると、皮膚に亀裂が入り、そこから細菌感染を起こして、歩くのも辛いほど痛くなってしまうこともあります。こうなると、治療にも時間がかかってしまいます。
皮膚科では、症状や状態に合わせて、適切な治療法を提案してもらえます。適切な治療を受けることで、水虫はきちんと治せる病気なので安心してください。
水虫(白癬)の治療期間
水虫の治療期間は、症状の程度や白癬菌の種類、感染部位、生活習慣などによって個人差があります。一般的には、皮膚の水虫の場合は塗り薬で3か月、爪の水虫の場合は飲み薬で1年はかかることが多いです(爪の伸びるスピードにもよります)。
足白癬の場合、毎日1回、両足全体にムラなく塗ることで、約3ヶ月で症状が改善することが期待できます。しかし極度に角層が厚くなっている場合は、薬が浸透しにくく長期間の治療が必要になる場合があります。
爪白癬は足白癬に比べて治療期間が長く、薬の成分が入った新しい爪が水虫に感染した部分を徐々に押し上げて治っていくため爪の伸びるスピードも大きく影響し、6か月~1年以上かかることもあります。爪白癬は、爪自体が硬いため、塗り薬が浸透しにくく、白癬菌が爪の奥深くに潜んでいるため、治療に時間がかかります。
さらに、糖尿病など基礎疾患がある場合や、高齢の方、免疫力が低下している方は、健康な方に比べて治りが遅くなることがあります。
塗り薬、飲み薬、レーザー治療など、治療法の特徴
水虫の治療には、主に塗り薬、飲み薬があります。
塗り薬
- 患部に直接塗布するため、ピンポイントで治療できる。
- 症状が軽い初期の水虫に効果的。
- 副作用が出にくい。(かぶれることはある)
- 毎日継続して塗ることが重要。
- 症状のある部位だけでなく、足裏や指の間全体に塗ることが重要。
飲み薬
- 体の中から白癬菌を退治するため、効果が高い。
- 広範囲にわたる水虫や爪白癬に効果的。
- 副作用(肝機能障害)のチェックのため定期的な採血が必要。
- 例:イトラコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾールなど
医師の指示に従って、適切な治療法を選びましょう。
水虫(白癬)を繰り返さないための予防策
水虫は再発しやすい病気です。特に、足白癬は、日本人の約13.7%が罹患しているという調査結果もあり、誰もがかかりうる病気といえます。そのため、治療後も予防を続けることが大切です。
- 足をよく洗い、特に指の間は丁寧に拭く。
- 通気性の良い靴下や靴を履く。
- 素足で歩くのを避け、スリッパなどを活用する。
- バスマットやタオルは共用せず、清潔なものを使い、定期的に洗濯する。
- 足が蒸れやすい靴は避け、同じ靴を毎日履かないようにする。
- プールや温泉など、公共施設ではスリッパを着用し、素足で歩く場所を避ける。
湿疹やカンジダなど、水虫(白癬)と間違えやすい皮膚疾患
水虫と似た症状が出る皮膚疾患はいくつかあります。特に汗疱状湿疹は手以外に足にもできやすく、その場合は水虫と誤解されることも少なくありません。(こちらのページを参照してください)
| 疾患名 | 症状 | 特徴 | 治療法 |
|---|---|---|---|
| 湿疹 | かゆみ、赤み、ブツブツ、ジクジク | アレルギーや刺激が原因 | ステロイド外用薬、保湿剤など |
| 汗疱状湿疹(異汗性湿疹) | かゆみ、赤み、ぶつぶつ、水ぶくれ | 汗腺の閉塞や炎症が関連すると言われている | ステロイド外用薬、保湿剤など |
| 掌蹠膿疱症 | 手のひらや足の裏に膿をもった水疱ができる | 原因不明 | ステロイド外用薬、光線療法など |
これらの皮膚疾患は、水虫と見分けることが難しい場合もあるため、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。医師による適切な診断と治療を受けることが大切です。
近年、糖尿病患者において爪白癬の罹患率が高いという報告や、糖尿病性神経障害や高いHbA1c値と爪白癬の発生に有意な関連性があるという研究結果も出ています。HbA1cとは、過去1~2ヶ月の平均的な血糖値の状態を反映する指標です。糖尿病の方は、血糖コントロールが悪いと、免疫力が低下し、白癬菌に対する抵抗力が弱くなるため、爪白癬のリスクが高まると考えられています。水虫は放置すると様々なリスクを伴う可能性があるため、早期に治療を開始することが重要です。
まとめ
水虫(白癬)は、白癬菌というカビが原因で起こる感染症です。高温多湿な環境を好み、皮膚に感染すると、かゆみ、赤み、水ぶくれなどの症状を引き起こします。
感染経路は、感染者の皮膚から剥がれ落ちた角質に接触することです。バスマットやスリッパの共用、プールや温泉などの公共施設での感染に注意が必要です。
水虫は適切な治療を行えば治る病気です。症状に合った治療法を選択するため、自己判断せず皮膚科を受診しましょう。治療には、塗り薬、飲み薬、レーザー治療などがあります。
再発を防ぐためには、日常生活での予防が重要です。足を清潔に保ち、通気性を心がけ、共有物を介した感染を防ぎましょう。
当院へのご予約はこちらです。保険診療のWEB予約は前日までとなっております。当日のご予約はお電話にてご相談ください。シミ・シワ・たるみやエイジングケアなど美容皮膚科での自費診療は完全予約制となっております。当日施術ご希望の場合は必ずお電話でご予約ください。
参考文献
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